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トレバー・ノア 生まれたことが犯罪!?|読書メモ

アパルトヘイトの最中に生まれ、本のタイトル通り「生まれたことが犯罪」である状態で幼少期を過ごし、アパルトヘイト終了後もその生い立ちと環境の呪縛から逃れようと必死に生き抜いてきたトレバー・ノアの半生が描かれた書籍。
本のタイトルを見たときは黒人でることで犯罪者扱いを受けることが多かったのかなと思っていたけど違った。アパルトヘイト時代は背徳法という法律があり欧州人と現地人(南アフリカ)のあいだにおける性行為および他の関連行為を禁止する法律が実際に制定されていたことを本書で知り、しかなり衝撃を受けた。

出自という自分自身ではコントロールできないことが人生にかなり大きな影響を与えてしまうことを再認識したし、それらを解消するには歴史的背景を理解し、既得権益をぶち壊すような衝撃を与えないと解決することはかなり難しいのではと感じた。(解決したとしてもまた別のどこかで同様の事象が起きてしまうだけかもしれないけど)

トレバー・ノアはそんなハードな環境の中でもタフに生き抜き、今ではアメリカで人気のコメディアンになっている。そんな彼のハードな人生がユーモアたっぷりに描かれていてそのポジティブさとタフさには本当に驚かされた。本書になどもでてくる母親の影響がものすごく大きいのだろうな。

書籍

  • 著者 トレバー・ノア
  • 発行 2018年5月9日

トレバー・ノア 生まれたことが犯罪!?

メモ

  • 人は肌の色以上にことばで、相手が何者かを判断する
  • アウトサイダーな場面では自分から打ち解けることで身を守る
  • どこでも誰とでもいっしょにいながら、いつもひとりだった
  • 後悔こそ一番おそるべきもの。後悔は一生答えが得られない永遠の問い

この子が一生ここから出ることがないとしても、ここだけが世界じゃない、とわかるようになること。それさえ成し遂げれば、わたしは十分。

アパルトヘイトによる差別意識が黒人、白人双方に色濃く残っている時代に母はトレバーに外の世界を見せて回った。当時は白人は白人地域、黒人は黒人地域でしか過ごさないし使える乗り物からなにからなにまで分かれていた時代にとしてはかなり珍しい行動だったと思う。そんな母が周りから変わり者扱いされたときに発した言葉。

アパルトヘイトが導入されたとき、カラードは安易に分類されることに反対した。そこで政府はカラードを(実に見事に)利用して、混乱・憎悪・不信感といった種をまいた。

白人が黒人を管理しやすくするために取った手法。白人>カラード>黒人という階級を作り、カラードは頑張れば白人と同じ身分になれると思わせた。そうすることでカラードは黒人とは違うという意識を持ち差別しはじめる。黒人も差別されたことにより憎悪や憎しみがます。カラードVS黒人という対立構造ができあがることで争いが生まれる。そうすることで白人への意識をそむけうまく管理しようとしていた。また、黒人の中でもさまざまな民族がいることに目を付け、民族間同士の抗争に持ち込んだらしい。大虐殺が起きたルワンダでも同じような手法が使われていた記憶があるのでやはり植民地化や支配をする際に仮想敵を作るというのは常套手段なのかもしれない。

あのね、物事の明るい面を見なくちゃ

元旦那に銃で撃たれ、九死に一生を得た後にトレバーに対して言った言葉。死にかけたにも関わらず、心配して泣き出しそうなトレバーをこの一言で泣き笑わせたらしい。すごすぎる。

過去に読んだこのあたりの本の内容ともリンクするので貼り付けておく。
go-sk.hatenablog.com
go-sk.hatenablog.com

NETFLIXでいくつかコンテンツがったのでこれも見ておきたい。

www.youtube.com
トレバー・ノアのお願いだから | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト