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読書記録と日常のあれこれ。

マッキンゼー|読書メモ

コンサルティングファームの成り立ちや実体を知りたいと思い読んでみた。コンサルティングを生業にする際の重要なことが書かれていて興味深い。

書籍

著者 ダフ・マクドナルド

発行 2013年9月20日

 

章立て

序章 マッキンゼーとは何者か

第1章 ザ・ファーム誕生の秘密

第2章 マッキンゼー・ウェイの生みの親、バウワー

第3章 いかにして、コンサル業界の覇者となったか

第4章 ゼネラリストか、スペシャリストか

第5章 史上最強の頭脳集団の実像

第6章 その実力は本物か

第7章 マッキンゼー的人材の条件

第8章 膨らむ野望

第9章 そのアドバイスの価値

第10章 揺らぎはじめた価値

第11章 マッキンゼー・マフィアが世界を動かす

終章 マッキンゼーはこれからも勝ち続けるのか

 

メモ

要するに、マッキンゼーは自分たちによる啓発、つまりクライアントより物事をはっきりと見られる能力を、売っている。一度なら、たいしたことはないービジネスにしろほかのことにしろ、多くの問題は新鮮な観点を持つことで解決される。これをほぼ一世紀にわたって行うのは、実に困難な仕事だ。

 

「どのような規模の会社であれ、経営において通常最も難しいのは、集中管理とそれと同程度に必要な従業員の自治とのあいだの、微妙なバランスである。この自治は従業員が会社に最大限の貢献をし、仕事から満足感を得るうえで、必要なものだ。別の言い方をするなら、問題は社内でさまざまな決断ができるように権限をゆだねられるかどうかにあるのだ」

 

「予算管理には次のことが必要だ。(一)予算という形をとった、ある一定の時期における事業全部門の計画書であること。(二)これらの予算を調整して、事業全体のためにバランスのとれたプログラムにすること。(三)実際の業績と予測された業績を比較した報告書を準備し、その報告書が改定の必要性を示したときには、もともとの計画を改定すること」

 

第一に、「成功するコンサルタントは人に好かれる魅力がある」とバウワーは言っている。そしてこの人に好かれる魅力で、マッキンゼーコンサルタントは自分の地域社会の支配層に入り込み、地元の委員会に入ったり、チャリティに参加したり、さらに教会に通うことが期待されている。これはビジネス戦略としての地域との繋がりであり、バウワーの実用的な理想主義の一つのあらわれだった

 

多くのコンサルタントは、一年に最大で二〇〇〇時間分の請求ができる。最大80パーセントから100パーセントを活用することは達成可能だと考えられている。マッキンゼーのようなピラミッド構造では、上位の人材が一度に多くのプロジェクトに関わり、新人のハーバード卒業生はきつくて細かい仕事をすることになる。パートナーたちが受け取る分け前は、ジュニア・コンサルタントたちの労働で得られたものだ

 

マッキンゼーのビジネスモデルにおいて公然の秘密となっているのは、その成功の大部分を他人の考えを再販売することで手に入れたという点だ。数十年にわたってマッキンゼーが売ってきた主力商品は、デュポンなどが先鞭をつけていた、分権化や複数事業部制による組織改革のカスタマイズ版だ。

 

トップレベルの戦略的思考という専門知識を売り込んでいるかもしれないが、クライアントである巨大企業にとって最も貴重なのは、費用削減の新しい方法を見つけてくれることなのだ。地球上で彼ら以上のコスト・カッター集団はおそらくいないだろう。

 

BCGの魅力は、その助言が目に見えるものだったことだ。それは知力を要求するものではなかった。ビジネス書作家のスチュワート・クレイナーは、こう言う。「マッキンゼーが自分自身の才気を売っている一方で、BCGは商品を、それも大量に売っている」。ヘンダーソンマッキンゼーを狙い撃ちするように、「いい戦略は何よりもまず理論に基づいていなければならない・・・直観から生まれた経験ではなく」と記者に語っている

 

マッキンゼーは見込み客に2000語ほどの文章を見込み客に送りはじめた。「こぼれ話」と呼ばれるこの文章には、三つの目的があった。一つ目は、マッキンゼーのパートナーが見込み客たちに、同社の仕事をどう思っているかを聞くこと。これはクライアントたちの虚栄心に訴えかけた。二つ目は、クライアントにマッキンゼーの最新の思考について読ませること。そして三つ目は、マッキンゼーが次の仕事をするチャンスを得ることだ。

 

マッキンゼーがいったん世界最大級の企業の役員室に落ち着くと、そこから去ることはまずなく、何十年とはいかないにしても、何年ものあいだ安定し、しかも増えていく仕事を確保したのだ。たとえば、2002年の「ビジネスウィーク」は、マッキンゼーはそのとき400ものクライアントと15年以上仕事をしていたと書いている。それだけでなく、厳しい競争に直面しながらも、請求額を上げ続けていた。

 

コンサルタントたちが知っていることを集約し、統合するーそのやり方を革新したことは、戦略への取り組み以上の効果があった。

 

コンサルティングという商品は前もって価値を図るのが難しい。なぜならそれは、実体のないものであり、作られると同時に消費されるものでもあるからだ。結局のところ、印象がすべてなのだ。

 

マッキンゼーコンサルタントにとって最も大切なのは、クライアントとの長期的な関係だ。ほかのビジネスと変わらないが、これという「商品」のないマッキンゼーにとっては、関係がすべてだ。マッキンゼーの収入の85パートナーは、どんな年でも既存のクライアントから上がっている。「私たちは入り込む」と、ロンダニエルは「フォーブス」に語った。