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読書記録と日常のあれこれ。

ブランディングの科学2 エビデンスに基づいたブランド成長の新法則|読書メモ

抽象的概念である「ブランディング」について、エビデンスをもとに詳細に説明している書籍。和訳なので若干読みづらさを感じたが、全体を通して学びのある内容だった。読み手の業界や環境によって活かせる部分とそうでない部分はあるがマーケターやブランドマネージャーは一読の価値ありかと。以下、見返り用としてポイントをメモ。

キーワード

  • メンタルアベイラビリティ
    • 消費者のブランドに関わる全ての記憶のことで、ブランドロゴやパッケージの形、ブランドカラーなどの構成要素から、なぜ・いつ。どこで・誰と・何と一緒に買う・使うのかというようなブランドオケージョンの記憶を指す。マーケターはブランドのメンタルアベイラビリティを上げることに注力すべし
  • フィジカルアベイラビリティ
    • ブランドの存在感が高まっていて多くの消費者に幅広い購入機会が提供されている状態。配荷の量と質のことであり、店舗であれば棚取り、ECであれば上位検索で目につきやすくする等、競合よりも目につきやすくすることで購入されやすい状況を作ることが重要
  • ダブルジョパティの法則
    • マーケットシェアの高低は客数とロイヤルティとリニアに相関する、とう法則。マーケットシェアに応じて浸透率とトライアル指数(間口)は大きく変化し、リピート率や購買回数などのリヤルティ指標(奥行き)は緩やかに変化する。この法則はほぼ全てのブランドに当てはまる
  • 自然独占の法則
    • マーケットシェアが大きいブランドほど、そのカテゴリー内の多くのライトバイヤーを引き付ける。つまり、そのカテゴリーをそれほど頻繁に購入しない消費者は、より大きなブランドを好んで買う傾向がある
  • 購買重複の法則
    • ブランドの顧客基盤は市場のシェアに応じて競合ブランドの顧客基盤と重複している。どのブランドも規模に応じて競合と一定の割合で顧客を共有していることになる
  • ロイヤルティへの過度の依存は危険
    • ロイヤルティはダブルジョパティの法則に沿うという事実がある。但し、そもそもカテゴリー購入回数が少なく、たまたまそのブランドだけで購入しているロイヤルユーザーが非常に多いのも事実。そのため、ロイヤルティ一本槍のマーケティングが成功する確立は低い考えられ、よって過度なロイヤルティ依存は危険である

第1章 ブランドの育て方

  • ブランドが成長するためにはメンタルアベイラビリティとフィジカルアベイラビリティを拡大して浸透率を伸ばさなければならない
  • ダブルジョパティの法則はブランドを成長させるためには、無購買層と低頻度関心そうの心をいかに掴むかが重要であると教えている

第2章 市場全体をターゲットとする

  • ヘビーバイヤーは必ずしも、ブランド成長に寄与するわけではない
  • ブランドの成長はライトバイヤーとノンバイヤーからもたらされる。それは、これらの消費者が何人存在しているか、また彼らの購買力の余力はどれほどかを考えてみるとよくわかる
  • 自然独占の法則はライトカテゴリーバイヤーを獲得するためのマーケティング戦略をデザインすることの重要性も強調している

第3章 新規顧客を探す

  • 自社ブランドは競合ブランドと同じ顧客基盤を共有している
  • 成長するためには、市場シェアの比率に準じてすべての競合ブランドから顧客を奪わなければならない。そのためには、ブランドの特徴や機能的な差を成長するための布石とすることを躊躇してはならない
  • パーティション分析を行ってブランドの市場全体を相手にして戦っているか、適切な系列品を提供できていないため主要サブカテゴリーから締め出されていないかを確認し、可能なら成長を阻んでいる障害を探し出して取り除く

第4章 メンタルアベイラビリティを構築する

  • メンタルアベイラビリティを構築するためには、購買客がブランドの購入を検討するときに役立つように、購買客の記憶構造の中にブランドを定着させる必要がある
  • カテゴリーエントリーポイント(CEP)とはブランドとのタッチポイントとのことで、CEPが多ければ多いほどブランドが目立つ機会が増える
    • CEP特定のFM:目的・使うタイミング・使うシーン・誰と使う・何と一緒に使う

第5章 独自のブランド資産を強化する

  • ブランド資産は下記活動において一貫性を構築する必要がある
    • 異なるメディアでの広告展開
    • 長期間にわたるキャンペーン
    • 店内、店外でのプロモーション活動
  • 独自性と差別化を混同するべからず。主従の関係もないし、補完し合うものでもない
  • 自社ブランドの資産がどれほど強固であるかを知ったつもりになっていないか?”つもり”になっていると判断や意思決定を誤る可能性があるので注意が必要
  • 強固なブランド資産を使うことをやめてはならない。使わなければ代償(顧客の記憶の衰退)が伴う

第6章 リーチを拡大する

  • ブランドの成長を支えているオーディエンス、つまりブランドのライトバイヤーとノンライトバイヤーを重視する。これらのカテゴリーバイヤーは通常、大きいメディアを使ってリーチできる
  • ダブルジョパティの法則を利用してヘビーメディアユーザーは小規模プラットフォームに引き寄せられる傾向がある。但し、顧客重複の法則があることに留意しておく。また、小規模プラットフォームの場合でもフリークエンシーを伸ばす目的であれば有益
  • マルチプラットフォームキャンペーン立案時はメディアオーディエンスの重複を調査し、開拓する価値があるにリソースを投下されたい

第7章 話題にする価値のある口コミを作る

  • 口コミはブランドにとって魅力的なプロモーション活動のひとつ
  • 市場シェアとの強い相関性はマーケターがブランドの口コミの強さを理解するための手がかりとなっている
  • 但し、口コミはアンコントーラブルなのでその点は留意する
  • 広告より口コミのほうが見られやすくはあるが、記憶の定着や効果の面では慎重に評価する必要がある

第8章 フィジカルアベイラビリティを構築する

  • フィジカルアベイラビリティは3つの要素に分解して考えられる
    • プレゼンス:購買検討時における存在感
    • レレバンス:市場浸透率
    • プロミネンス:購買客が発見できるか(配荷)

第9章 オンラインショッピング

  • オンラインとオフラインの両方を意識する
  • オンラインチャネルで強化すべきブランドを見極める
  • オンラインでもメンタルアベイラビリティは重要
  • オンラインでは離脱されないよう快適なUI・UXが重要
  • オンラインではオフラインよりも浸透率を高めるのがむつかしくなりつつある

第10章 新ブランド導入と新規顧客獲得

  • 新ブランドの初期顧客基盤は平均以上のブランドレポートリーを持つヘビーカテゴリーバイヤーに陥りがち
  • 長期的にはミディアム~ライトカテゴリーバイヤーを獲得しなければならない
  • 広告投資は可能な限り等間隔で行うべし
  • メンタルアベイラビリティを構築するために、カテゴリー内のさまざまな購買客にとって重要な意味をもつCEPにブランドを関連付けなければならない
  • フィジカルアベイラビリティも同様に重要

第11章 高級ブランドについて

  • 高級ブランドの特徴は、効果で高価格・高品質・美しさ
  • 品質の高さは簡単に評価できない
  • なので価格の高さから測定するバイヤーがでてくる
  • 高級ブランドがメンタルアベイラビリティを構築し維持するには大量の広告出稿が必要となる
  • 目標とする高い評価を得るまでには相当の時間が必要となる
  • 高級ブランドのメイン購買層は一部の大富豪ではなく、中流階級層(市場規模の視点)


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