最近流行り?のファンマーケティングとは真逆のことを推奨していそうなタイトルに惹かれて読んでみた。未顧客とは全く買わないノンユーザーやたまにしか買わないライトユーザーのことを言うらしく、ブランドの成長には未顧客を増やし続ける必要があると筆者は説いている。
たしかに、ニッチで一部のファンに支えられているブランドの場合、その状態を維持するので精一杯でさらなる成長を増やすのは難しいというのは想像はつく。一方で、未顧客を開拓するにはCEPを増やすことが重要と書かれていたのでそうなると結局体力(資本力)勝負になってしまうのではという疑問を感じた。
市場と商材特性など前提にその環境により変わってきそうだけど、内容自体の納得度は高かった。それらを自社のビジネスに落とし込むまでの理解は進んでいないのでまた読み直してヒントを見つけたい。
章立て
メモ
- 未顧客とは、全く買わないノンユーザーやたまにしか買わないライトユーザーのことを指す
- 本書では未顧客を理解し、顧客化することでビジネスを成長させることが重要と説いている
- なぜなら、ファンやロイヤルカスタマーだけに目を向けていてもいつかは限界を迎えてしまうから
- また、継続して成長している企業は未顧客の開拓に注力しているから
- ブランドの成長に直接影響を及ぼすのは浸透率(顧客数)である
- ロイヤルティも大事ではあるがこれだけでは不十分
- ロイヤルティ(ファン)マーケティングが不十分な理由
ヘビーユーザーは絶対数が少ない ヘビーユーザーに更に購入してもらうのは難しい 既存顧客の認識や行動を広告で変えることは難しい ROIを成果指標として追っても売り上げのトップラインが増えるわけではない ロイヤルティは、ロイヤルティ施策によって高まるのではなく、浸透率の増加に伴って高まる
- 負の二項分布(NBD):売り上げを構成する顧客数と購買頻度の関係を表す
- 購買頻度が低いほど顧客数が多く、購買頻度が上がるほど顧客数が減る
- 負の二項分布に従うとライトユーザーを取り込まないとブランド成長は見込めないということになる
- 未顧客理解は難しいが、文脈を理解し再構築することで攻略法が見えてくる
- ”こうした状況に置かれた人はどういう合理で物事を捉えるだろうか”という視点で文脈を俯瞰する
- 顧客行動の不合理は企業側からみたら不合理に見えるだけ。顧客本人からすると十分合理的(だと思っている)
- ”顧客にとって本当に価値になるのはブランドのどんな側面で、それをどう伝えれば自社の独自性を生かした顧客価値を生み出せるか”
- ”定性的なアプローチにおいても、思考や行動の規則性をつかまえに行く姿勢が重要である”
- ”行動には報酬があり、人は報酬を最大化するような方策(合理)を体験の中で学習する”
- 顧客理解は継続的なプロセス
- 問いを洗練させていく過程が「理解」になる
- ペルソナはユング心理学の用語
- 人は周りに求められた役割に応じて仮面を着け替え、その役割を演じていると考える。会社、家庭、友人関係など、場面に応じて異なる顔を持っている
- 状況や相手に応じて使い分ける人格をユング心理学ではペルソナと呼んでいる
- シャドウ
- そうした役割を演じるために不断抑え込んでいる感情や人格のこと
- シャドウはペルソナと正反対の性質で裏表
- なので、人の理解も文脈の理解の方が大切
- カテゴリーエントリーポイント(CEP)が多いほうがブランドが選ばれる確率は上がる
- ブランドへの入り口
- タッチポイントと近い
- 文脈に依存する合理性や行動パターンを見つけることが未顧客理解の肝
- マーケターの合理と顧客の合理を一緒にしないこと。顧客視点で顧客の合理を考える
- ロイヤルティの幻想
- ロイヤルティを高めてもシェアは増えない
- 自社ブランドだけをたくさん買ってくれて他のブランドを買わない顧客はほぼいない
- 平均への回帰によりヘビーユーザーの一部は必ずライトユーザーに落ちる。もしくはユーザーをやめる
- SNSの口コミは「他人が興味のない話をしているだけ」とも言える
- ブランドは少数との深いつながりではなく、多数との薄いつながりを通して成長する
- ファンマーケティングもダメではないがブランド成長という点では弱い
- ダブルジョパティの法則
- マーケットシェアが低いブランドは購買客数が少なく、ロイヤルティも低くなる
- 良いニッチ=ファンがいて市場拡大の伸びしろもある
顧客のロイヤルティがいくら見えるようになっても、それを変えることができるのは顧客にアプローチした購買機会を思い出させ、そして買いやすくすること以外はないのです。 by ニューバランスジャパン 鈴木健 氏
- ブランド成長には浸透率を高めてブランドの利用機会を増やし、ライトユーザーを獲得する必要がある
- 売上=利用機会の数×各利用機会での購入回数×単価
- 未顧客の生活文脈の中にブランドが購入されるきっかけを多く作りさまざまな生活シーンやタイミングで買ってもらえるようにする=CEP
- 大きなブランドと小さなブランドの違いはCEPのサイズにある
- これがそのまま浸透率の違いとなって返ってくる
- CEPが多いということはそれだけ未顧客に対してブランドへの入り口を多く用意しているということ
- そうなると利用機会も増える
- CEPとブランドの結びつきが(連想)が強いほど自社ブランドが選ばれやすくなる
いかに未顧客の生活の中にCEP(ブランドへの入り口)を増やすか、それぞれのCEPとブランドの結びつきを強めるか、に尽きる
- NBDディリクレ
- 購買頻度とブランド選択という購買行動の異なる側面を1つの士気として結びつけることでさまざまな予測を可能にするという考え方
- 1)そのブランドが属する商品カテゴリーがどれだけりようされるか
- 2)そのときに自社ブランドがどれだけ選ばれるか(購買の選択肢に入る)
- 商品は一つ、切り出し方は無限
- 機会は気づくもの、市場は作るもの
市場は社会環境と人の生活、企業の意味づけの相互作用として形成される
- オルタネイトモデル
- 特定の文脈や状況の置かれた人間の合理(考え方、物事の捉え方)を理解するフレームワーク
- ブランドの役割は消費者に考えさせないこと
- 未顧客理解において「なぜ興味がないのか」を考えても意味がない
- 未顧客理解はノンユーザーやライトユーザーの満たされていないニーズを探して充足するという課題解決型の話ではない
- そもそも無関心や非興味に理由や原因は存在しない
- 人は理由があるから行動するのではなく、行動したあとに理由をつけがち
- ファンやヘビーユーザーの魅力がノンユーザー、ライトユーザーユーザーに魅力的に映るわけではない