大学院のマーケティングクラスのスライドで参考図書として紹介されていた書籍。単なるフレームワークの紹介ではなく、使い所と得られる価値、その限界についても説明されていて非常に参考になる。手元に置いておきたい困った時の一冊。
章立て
- 第Ⅱ部 マッピングのプロセス
- 第Ⅲ部 代表的なダイアグラム
- 第9章 サービスブループリント
- 第10章 カスタマージャーニーマップ
- 第11章 エクスペリエンス
- 第12章 メンタルモデルダイアグラム
- 第13章 空間マップとエコシステム
ポイント
- 残念な顧客体験を生んでいるのはサービス提供者側の連携不足
- 緊密な連携で価値を創出しユーザー体験を向上させることができる
- 顧客に提供する製品・サービスはアウトサイドインの視点で見つめる
- 全部署、全レベルで組織内の職務を連携する
- 全員で共有し縦割りをぶっこわす
- やるべきことを絞るための土台とする
- 顧客体験をダイアグラムで見える化し、議論、気付き、改善、革新の土台とする
- アライメントダイアグラムとは個人と組織、それぞれの側から見た価値創出を一箇所にまとめてしましたマップなどを見える化したもの
- サービスブループリント
- カスタマージャーニーマップ
- エクスペリエンスマップ
- メンタルモデルダイアグラム
- 空間マップ
ダイアグラムの種類 | ストーリー | インタラクション | 個人 | 組織 |
---|---|---|---|---|
カスタマージャーニーマップ | 時系列 | 接点 | 行動、思考、感情、ペインポイントなど | 体験の創出に関わる部課とその役割 |
エクスペリエンスマップ | 時系列 | 接点 | 行動、思考、感情、ペインポイント | システムの物理的・社会的アーティファクト、チャンス |
サービスブループリント | 時系列 | インタラクションの境界 | 行動、物的エビデンス | 舞台裏の当事者とプロセス |
メンタルモデルダイアグラム | 階層 | 中央線 | タスク、感情、考え方 | |
空間マップ | 空間 | 矢印付きの中間点 | 行動、ニーズ、情報フロー | データシステム、部課 |
※本書P9より
- アライメントダイアグラムの原則
- エクスペリエンスはその時々のコンテクストに依存する
- 例)ラーメン好きでもコンディションによってはラーメン以外のものが食べたい
- 特定の製品・サービスだけを考えている人はいない
- ごく普通の日常の中で製品・サービスとどこで接点をもつのか、もたないのか、何を考え、どう行動しているのか、などの洞察が必要
- 個人の体験の切り口
- 物、行動、認識、感情、ニーズ、課題、文脈、企業文化、イベント(MoTなど)
- 組織の場合の切り口
- タッチポイント、提供物、課題、運営、測定基準、評価、チャンス、、目標、戦略
- タッチポイント
- 静的(一方通行):ニュースレター、広告メールなど
- インタラクティブ:ウェブサイト、アプリ、オンラインチャットなど
- 人的:販売員、営業担当者、テレセールスなど
- MoT
- 真実の瞬間と呼ばれ、顧客の感情が通常よりも高まったり、下がったする瞬間のこと。エクスペリエンス上、重要なポイントでカスタマージャーニーマップなどでこのポイントを推察し何かしらの手立てを講じることでユーザー体験を向上させる必要がある
- ZMoT
- 刺激要因とMoTの間に存在する重要なタッチポイント。インターネットの普及によりユーザー側の情報収集が要因になったことで、口コミや評判、ホワイトペーパー等を活用したZMoT対策が求められている
- 価値の種類
- 機能的価値
- 社会的価値
- 感情的価値
- 認知的価値
- 条件付き価値
- プレミアム・バリュー
- 達成感
- 美
- コミュニティ
- 創造
- 義務
- 啓発
- 自由
- 調和
- 正義
- 一体感
- 救済
- 安心感
- 真実性
- 是認
- JTBD
- Jobs To Be Doneの略で、やるべきこと、顧客の切実なニーズ、という意味
- クレイトン・クリステンセン教授がイノベーションの解で提唱
- 機能・感情・社会の3つの側面がある
まず取り組むべきは顧客体験。
技術うんぬんはそれからだ。
ースティーブ・ジョブズ
- 戦略マップ
- 組織戦略の全体像をひとつの図で示す戦略の記述・解説用のツール
- 社員の学習と成長の視点
- 業務プロセスの視点
- 顧客の視点
- 財務の視点
じっくり観察するだけでも
多くのことがわかる
ーヨギ・ベラ
- 調査段階の主要な作業
- 既存情報現の見直し
- 内部関係者へのインタビュー
- ダイアグラムの草案作り
- 外部調査
- データの分析
可視化にはキャンプファイアーのような作用がある。
我々はその周囲に集い、ストーリーをきかせ合う。
アル・シャロウェイ