トライバルメディアハウス池田さんの書籍。マーケティングと売上の関係を20項目に分解して説明するというチャレンジングな内容。広範囲をカバーしている分、粒度は浅めな印象だがマーケ施策の売上への影響度や効果の可視化で迷子になってしまっている人にとっては気づきやヒントが得られそうではある。そもそも、全ての施策の効果を証明するのは至難の業なので、各施策の役割と目的を明確化し、施策同士の繋がりを理解することをはじめにやっておかないとダメだということを再認識させられた。
想定読者はBtoC向けの商材を扱う企業の担当者とのことで事例もtoCのみだがBtoBにおいても応用できる考え方も含まれている。
章立て
- はじめに
- 地図の読み方
- 第1の地図 売上と商品・サービス
- 第2の地図 売上と売り場
- 第3の地図 売上と想起
- 第4の地図 売上と好意
- 第5の地図 売上と口コミ
- 第6の地図 売上とソーシャルメディア
- 第7の地図 売上とオウンドメディア
- 第8の地図 売上とインフルエンサー
- 第9の地図 売上とブランド
- 第10の地図 売上とロイヤルカスタマー
- 第11の地図 売上とパーパス
- 第12の地図 売上と広告
- 第13の地図 売上とPR
- 第14の地図 売上と販売員
- 第15の地図 売上と店頭販売
- 第16の地図 売上と流行
- 第17の地図 売上と若年層
- 第18の地図 売上と外部環境要因
- 第19の地図 売上と価格
- 第20の地図 売上と効果測定
- あとがき
メモ
- 売上は目的変数で売上に影響する要因は説明変数
- 売上に影響する要素を分解してコントロールできること、できないことを理解する
- コモディティー化による売上低減を乗り越えるためにはUSPを探究し続けるしかない
- ZMOTはTMOT*1によりつくられる
- 集合想起率が高いブランドは強い
- 深く考えずに選ぶことができるから(考える面倒さからの解放)
- 最高、最安、最愛のいずれかまたは混合の要素が購買決定要因となる
- 良い商品は機能アプローチ
- 好きな商品は感情アプローチ
- 普通は良い商品→好きになってもらう、という思考になりがちだが、好きを先に持ってきたほうが買ってもらいやすい
- 購入前に好きになるのは難しいのでは?という疑問もあるが、広告やPR、口コミなどで好きになる空気感を作り上げることはできる
- 好きの反対は嫌いではなく無関心
- ググる→タグる→タブる
- オウンドメディアのソーシャル化
- BESS
- ソニー損保
関与度、価格、リスクが高い商品を購入する際、消費者がほしい納得する口コミは
購入経験者の、リアリティーあふれる、鮮度の高いクチコミである。多くのオウンドメディアには、それがない。だから、消費者は検索をし、企業公式サイトの外に答えを探しに行くのだ。この課題を解決するのが、オウンドメディアのソーシャル化だ。要は、オウンドメディアの中に、購入経験者のリアリティーあふれる鮮度の高い情報を掲載してしまうのである。
- ブランドは資産
- 広告はP/L的
- ブランディングはB/S的
- マーケティング活動全体の効果と広告の効果は分けて分析する
- 費用対効果(ROC)
- 短期、効率性重視
- 投資対効果(ROI)
- 中長期、効果性重視
- 費用と投資を混同しないこと
- マーケティング施策の全てに言えることは売上に与えた影響を完全に把握するのは無理だということ。その点を承知の上で、各施策の役割と目的を明確化し、KGI、KPIに落とし込む
*1:Third Moment Of Truth