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読書記録と日常のあれこれ。

デザインの本質|読書メモ

デザイン思考やデザイン経営など、最近良く耳にするようになった気がする。通っていた経営大学院でのデザイン◯◯という科目が追加され人気のクラスになっていた記憶もある。

一方で、「デザイン」の本質的な意味を理解している人はどの位いるだろうか。この本では著者が考えるデザインの本質を要素分解や事例を交えながら説明してくれているのでその理解に役立つ。

ざっと読んで良い内容だったので学習メモとして残しておく。

 

デザインの本質

デザインの本質

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デザインの本質とは

「創造性を持って社会全体の『より良い明日』を開く行為」本書ではこのように説明されている。なんだか抽象的でわかりにくいなぁと思うかしれないが、色々な概念や軸があるのでこのくらいの粒度じゃないと一言で表せないのだと思う。

そもそもデザインとは何か

一般的にはデザイン=なんらかの造形物や色・形を思い浮かべると思う。自分もそうだった。もちろん間違いではないのでけれど、それはデザインがもつ役割の一部でしかない。なのでデザイン力のある人=芸術的センスのある人という認識は短絡的で誤りとなる。では、デザインとは何なのか?この問いの答えのヒントは中国でのdesignの略にある。中国ではdesignを「設計」と訳す。この設計こそがデザインを説明する上で非常に重要な要素であり、日本国内で解釈されているモノの色や形のみを指す解釈と大きく異る点である。なのでデザインはモノとコトの両方が含まれていないと成立しないということになる。

拡大するデザイン

デザインの現状を整理するため、拡大するデザインの世界を4つの視点で整理すと、デザインの対象・プロセス・テーマ・関係性に分けられる。本来デザインとは幅広いものである総合的な活動であったはずだが、どうしても抽象的側面のみを指すものとして認識してきた。これがデザインの意味を取り違えてしまっていたりする原因である。

対象の拡大

有形から無形へ。

かつてはモノの色や形など、デザインの対象は物質として存在するものだった。現在では、UI/UXやサービス等まで広がり、モノ⇒コト、有形⇒無形へと拡大している。(というかそもそも広義のデザインはこちらの解釈が正しい)

プロセスの拡大

発想手法や経営とのつながり

デザインエンジニアリングは近年のデザインの特徴的な側面の一つ。そこには様々な解釈が存在するが、一般的には造形発想と機能設定や構造開発を組み合わせ、それらを同時におこなうことを言う。代表的なものはデザイン思考やデザイン・シンキングであり、一言で言うと共創型イノベーション発想法とも言えるらしい。さらにデザイン思考などを活用しつつ、よりイノベーティブかつ強いブランド力を持つビジネスの姿を生み出そうするのがデザイン経営である。

テーマの拡大

求められる「正しいデザイン」

近年、デザインに対する社会の要請が大きく変わってきている。社会課題に対して真摯な問いかけが行われ、人と社会と地球にとって必要とされる正しいデザインとは何かが問われている。国連によって提唱されたSDGsもその一つである。また、世界的デザイン組織のWDOでもワールド・デザイン・インパクト賞を設立し、より良い世界のためにデザインに何ができるのかを追い求めている。グッドデザイン賞においてもモノのデザインだけでなくコトのデザインに軸足が移されているとのこと。

関係性の拡大

デジタル社会に生きるデザイン

インターネットの普及により、デザインの上流域である企画開発からユーザー体験創造まで、あらゆるフェーズに置いて影響を与えている。IOT、ビックデータ、AIにより社会変革が加速し、これまで考えられなかったような新たな生活を生み出している。このような状況下でデザイナーはデジタル技術の危うさを意識し、より良い社会の創造を発想することが責務となる。

 

デザイン経営

企業経営におけるデザインの役割はデザイン経営宣言において大きく2つに集約される。

https://www.meti.go.jp/press/2018/05/20180523002/20180523002-1.pdf

 その2つが、ブランド構築に資するデザインとイノベーションに資するデザインである。どちらもバランス良く取り入れるというよりは企業も目的や戦略毎に比重を変え、最適なデザイン経営を実現することが企業経営者には求められている。

デザイン能力の構成要素

一言でデザインと言っても、その意味するところは多様でその点が曖昧なままでデザイン〇〇という言葉を使うことで混乱が生じている。以下5つのデザイン能力は多くのデザイナーが無自覚的に有しているものだがデザインの持つ創造性を活用するためにはそれぞれの能力を分解して理解しておく必要があると筆者が

  1. 観察力
    ・対象の客観化 
    ・深い洞察
    ・徹底した観察
  2. 問題発見力
    ・構造化し認識
    ・客観的に仕分け
    ・利用者を代弁
  3. 発想力
    ・柔軟な発想
    ・仮説提示力
    アジャイルプロセス
  4. 視覚化力
    ・認識支援
    ・共通化ツール
    ・わかりやすさ
  5. 造形力
    ・個性ある造形
    ・質の高い品格
    ・美の創造

デザイン思考とは

共創型イノベーション発想法あるいは創造的発想に基づく集団による企画開発と言える。デザイナーの重要な役割は「ユーザーの代弁者」であること。ユーザーが自らに内在していて自己認識できない課題や価値を抽出する。そしれそれを編集し、モノやコトの最適解を紡ぐことで生活の質を創り出す、これこそがデザインナーの役割である。これは起業家やマーケターにも絶対必要な思考で自分の中の顧客と向き合う行為と非常に似ている。というかおそらくほぼ同義で捉えていいと思う。

デザイン経営に求められる組織構築と価値判断

デザイン経営とは、これまでの①観察力から⑤造形力までのデザイン能力を活用する経営の姿である。デザイン経営におけるデザイン思考活用の場面では、デザイン力を経営の上流から導入し、「既成概念にとらわれない斬新な企画を進める」「モノやコト、サービスのイノベーションを作る」「顧客視点で経営判断する」などが求められ、モノへと着地する造形デザインの部分では「ブランド価値を見極める」こと、つまりユーザーに受け入れられる良いもの、美しいものを見極める力が求められる。デザイン思考の部分と色や形をつくるデザイン、これら全てを含めて包括的に判断し創造的な事業を推進することが「デザイン経営」の姿となる。

デザイン経営で最も必要とされることは、デザインという行為が持つイノベーティブな姿であり、その自由な発想姿勢を経営に取り組むこと。デザイン経営を導入する経営者に求められることは経営トップとしてデザインの創造的な力を活用し、経営上の価値を判断することに他ならない。

地球的課題へのアプローチ

デザインは社会を変革する企画力として注目されるようになってきた。既存のモノゴトのありようを問い直し、枠組みを変革すること、つまりリフレーミングがデザイン力となっているのである。

(リフレーミングはディスラプトと近しい意味を感じるが、前者の方が品があって響きがいい気がする)

 

本質的価値を追求するにあたり必要な視点

  1. ゼロから考える:モノゴトに対して既存の先入観を持たずにゼロベースで発想することによって全く新しい出会いんが生まれてきた
  2. ヒトから始める;人間中心の発想は、今も昔もデザインの原点である
  3. 思いを伝える:この発想アプローチは対象物にコメられたデザイナーの魂の発露であもある
  4. 物語を創る:これはまあさしきうモノのメタ次元からの発想であり新たな価値を生み出す
  5. 社会を変える:出会いンはよりよい社会を創る行為であり、近代デザインの原点っを振り返るまでもなく、社会的視点は婚姻値の必須事項である

心の時代へ

デザインはモノとコトとテクノロジーの三要素によってのみ生み出されるわけではない。今後ますますデジタル化が進み、AIが高度化する社会にあって、心への眼差しが最も大切になっていく。

今も昔も、そしてこれからも、デザインは「より良い人々の暮らしと世界を創る行為」であることに変わりはない。だからこそ、自らの心に基づいた創造的な仮説を提示していくことがまずます重要になっていく。

今、デザインはモノ・コト・テクノロジーの先に心との繋がりが要請されていることに気付き、モノの心を時、人の心を見つめ、よりよい生活と社会w構築する出会いんによって、明日を開いていく。それこそが目指すべきデザインの本質である。

 

雑感

デザイン=造形物の色や形位にしか考えていなかったが本書を読むことでデザインはものすごく幅広く、社会全体の営みと密接に関わっていることを理解した。言葉の定義にとらわれなければ何かを創り出すことそのものがデザインと言える。デザイン能力で必要な要素を見ても仕事で意識すべきことと非常に近い。そう考えるとデザインという言葉が少しだけ身近に感じられるような気がしてきた。