チームワークを良好にし、生産性を高めるヒントを得たいと思い読んでみることに。2014年と発行は古いが十分今でも使える情報が詰まっていて特にバーチャルチームに関する章はコロナの影響で在宅勤務が増えているのでヒントを得ることができた。また、チームワークはリーダーシップとマネジメントを高次元でバランスさせてメンバーを鼓動させるという超絶難しいテーマなのだなと、、、あらためて感じた。これについては適応課題のため絶対解はないが、抽象度高めでも基礎を抑えておくことでそこから類推や自分ごと化し、対処法の示唆を得ることはできそうではある。ざっと読んだだけで理解しきていないため、下記ポイントメモを見返して理解を深め実践で活かせるようにしたい。
書籍情報
チームワークの心理学: エビデンスに基づいた実践へのヒント
著者 マイケル・A・ウェスト
発行 2014年5月9日
第1章 効果的なチームを作る
- 効率的なチームワークに必要な基本的条件
- メンバーシップが明白であること
- チームのサイズが適切であること
- チームワークを要求するタスクのための仕事が比較的安定していること
- 明白でチャレンジングなチーム目標を持つこと
- 役割に応じたスキルを持つ人員を配置すること
- チームを鼓動させるリーダーがいること
- 成長機会を与えること
- チーム内の心理的安全性が高いこと
- チームの振り返り
- 目的の必然性や適切さ、達成までの進度を含めた状況確認と体制の見直し
- 外部環境変化に対するチームメンバーの観察と理解
- チームの機能に対する意識、レビュー、議論
- 創造性、柔軟性、適応性
- 曖昧なことへの寛容さ
- 多種多様な観点、知識・スキル・体験に価値づけするチームメンバー
- 振り返りはタスク×チームの状態の2軸で行う。いずれも質を高めることで弾力的で柔軟性を持ったチームに近づく
第2章 チームワークの実際
- なぜチームで働くのか?
- 組織として迅速かつ低コストで商品・サービスのスピーディな開発と提供を可能にするため
- 組織の学習効果を上げるため
- 経営の質を改善するため
- イノベーションを促進するため
- フラットな組織を作り協働するため
- 複雑化する組織を統合し連携性を高めるため
- 切磋琢磨するため
- 効果的なチームワークの障害となるもの
- 努力の手抜き(社会的手抜き)→集団で働くと必ずしも全員が最大パワーを発揮するとは限らない(1+1+1=3にならない。0.5のパワーしか出さない人が出てくる)
- 権力者の意見に迎合する傾向
- 創造性の低さ→ブレストは相乗効果を生み出さない
- 参加メンバーの質、関係値等により遠慮や羞恥心が生まれてしまい議論が活発化しないため
- 努力の手抜き(社会的手抜き)→集団で働くと必ずしも全員が最大パワーを発揮するとは限らない(1+1+1=3にならない。0.5のパワーしか出さない人が出てくる)
チームとは何か
チームとは明確に定義された困難なタスクに取り組む比較的少人数の集団です。そのタスクのは個人が単独で、あるいは複数の人がそれぞれ単独で取り組むよりも、集団で一緒に取り組んだ場合に最も効率的にやり遂げることができます。メンバーは、タスクから直接的に派生した明確で、共有された、チャレンジングなチームレベルの目標を持っています。彼らの目標を達成するために、密接に、お互いに依存し合って働く必要があります。そして、メンバーはチームの目標を達成するために必要な権限、自律性、リソースを持っています(Woods and West.2010)
- チームが成し遂げるタスクやフィードバックの管理方法
- チームのタスクは本質的に興味深いものであるべきである
- 個人が、自分たちはチームの運命にとって重要であると感じるべきである
- 個人が行うタスクは本質的に興味深いものであるべきである
- 個人の貢献は必要不可欠なものであり評価されるべきである
- パフォーマンスのフィードバックを伴った明確なチームのゴールがあるべきである
第3章 チームを作る
- チームワークのための知識、スキル、態度(KSA)
- 対人関係のチームメンバーKSA
- 矛盾の解決
- 協働の問題解決
- コミュニケーション
- 自己管理チームのKSAの
- 目標の設定とパフォーマンス
- 計画とタスクの調整
- 対人関係のチームメンバーKSA
- チームメンバーの多様性
- ASAモデル(引き寄せ・選択・淘汰)
- チームは似た人を引き寄せ、似ていない人を遠ざける傾向にある
- 結果、多様性が低く、同質性の高いチームになってしまう(必ずしも悪ではない)
- チームメンバーの多様性はイノベーションの源泉となる
- 一方でコンフリクトの要因にもなるためマネジメントコストが上がりがち
- ASAモデル(引き寄せ・選択・淘汰)
- 多様性が示唆すること
- チーム組成はタスクを達成するためにさまざまなスキルを組み合わせること
- チームの効果的にするためにはどういった行動、態度、スキルや能力が必要なのかを検討しなければならない
- メンバーの役割の違いを明確にし、各メンバーが独自の貢献をしているという感覚を持つこと
第4章 チームをリードする
- リードすることにはチームの仕事に対して向かうべき方向性を明確に伝えることも含まれる
- タイミング良く、適切な介入を行うリーディングが必要
- マネジメント
- 明確に共有されたチームの目標を設定する
- メンバーの役割を明確にする
- 個々人の役割を発展させる
- 個々人の貢献度を評価する
- フィードバックを与える
- グループのプロセスや戦略、目標を見直す
チームをマネージする際には、チーム内で「二重の学び」や振り返りがしっかり生じているかをリーダーが確認する必要があります。その際には、チームの目的や方法論、構造やプロセスを定期的に評価することが重要です。少なくとも、複雑な意思決定を行うチームでは半年に1回はこういった見直しを行うのがよいでしょうか。そういった評価の場で、チームは自分たちの半年間の成功度や期間中に直面した困難、チームの失敗について話し合います。
- リーダーシップの誤りと知恵
- 利己心の誤り
- 全知の誤り
- 全能の誤り
- 弱みはないという誤り
- 知恵とは、自分自身の興味関心と他者の興味関心のバランスをとり、モラルや倫理観を持つことで、知能や創造性を、公共の益のために使うことである
- 傾聴の要素
- 積極的傾聴:メンバーに興味を示し注意を向け言わんとしていることを理解する
- 開かれた傾聴:バイアスを持たずに聴く。聴き届ける。解決策の提示はせず問題の探索の手助けをする
- 内面の引き出し:問いかける。探索のヒントを一緒に探す
- 反射的傾聴:メンバーの話を反芻する
- 感情を認め開示する:自己開示
- フィードバックを与える:特定に行動に対して明確な反応を繊細かつ建設的な方法で示す
- フィードバックを与えるということは、メンバーの行動や結果に具体的に注目すること
- タイミングは行動直後がベスト
- ネガティブよりもポジティブの方が効果的
- 目標の共有
- リーダーの一番の仕事は、チームやメンバーが常にチームの方向性や目標、個人の目標を理解していることを確認すること
- リーダーシップの機能
- 方向性の設定
- チーム活動のマネジメント
- リーダーシップ技術の発展
- チームリーダーは少なくとも年1回以上、メンバーに対して自分のリーダーシップタスクに対するフィードバックを求めた方がよい
- 達成度と改善点
- リーダーシップスタイル
- 変革型
- 影響力・モチベーション・知的刺激・個人的配慮
- 管理型
- 条件付き報酬・問題に対する積極的管理、消極的管理
- 無干渉型
- リーダーシップ不在の状態
- 変革型
第5章 チームトレーニング
- チームの発達段階
- 形成期:不安定
- ストーミング期:対立
- 統一期:協調性と安定
- 遂行期:安心と協働
- 解散期:主要メンバーの離脱等による早期段階への回帰(プロジェクトではないので時限的制限はない)
第6章 チームの方向を定める
- ミッション・ビジョン・バリューの策定と目標設定
- 明確、やりがい、測定可能、共有と理解、積極的参加、チームワーク向上への寄与、期間の定め
- チームビジョンの要素
- 組織目標の一貫性
- 顧客/サービスを受ける人のニーズ
- 製品、サービスあるいは機能の質
- より広い社会に対する価値
- チームの雰囲気
- チームメンバーに成長とウェルビーイング
- 組織の他のチームや部門との関係
- 組織外チームとの関係
第7章 チームプレイ
会議の基本原則
・本題から離れない
・自分の意見を通すだけでなく、他のメンバーの発言を促す
・手続きについて質問する(議論がどこに向かっているのかを明らかにする,みんなが理解できるように議論されてきたことについてまとめをする)
・傾聴力を使う。進行中の議論をさらに続けるのか,あるいは議題を変えたいと思っているということを示して,そうしてもよいかどうかを尋ねる
- 情報の共有
- オフライン、オンラインを状況により使い分ける
- バーチャルチームの場合、一緒に仕事をする前に数日間会ってチームの目的や戦略,意思決定やコミュニケーションプロセスについて合意しておく
- 人は顔から情報を読み取る性質がある
- 影響力と意思決定
- チームにおける安心を作る
- 関与、探索、専心は人々が安全を感じているときに最も生じやすくなる
- 相互理解、ルールの明確化、称賛されるべき行動、雑談、無意味な批判の根絶、失敗の許容
第8章 チームの質の管理
- 質へのコミットメント
- 議論焦点型/建設的な議論
- 立場を確立する
- 理解しようとする
- さまざまな意見を統合する
- 議論焦点型/建設的な議論
- リーダーは総意を得るために、多数決といった議論を減らすやり方ではなく、できるだけチーム内の意見をまとめるように指導すべき
- ネガティブ・ブレインストーミングは課題焦点化に有効
- チームにおけるマイノリティの影響
- マイノリティの意見が革新的となる可能性がある
第9章 チームの創造的な問題解決
- いいね、それで・・・法
- 肯定による安全性向上とアイデアの発散と探索
- 創造的な問題解決
- 1. 探索:問題を特定し探索する
- 2. 思考:解決策を広げる
- 3.選択:目的に沿った最適な選択をする
- 4. 実行:責任と覚悟も持ってやり抜く
- 創造性とイノベーションのテクニック
- ブレインストーミング
- ブレインライティング・プール
- ネガティブ・ブレインストーミング
- 既存施策の改良に有効
- 目的指向性
- 問題探索・明確化段階で有効。
- 要素の表
- 問題や課題を要素や構成物のかたまりに分解し、各々の要素や構成物についてブレインストーミングを行い、多数の構成物の中からチームを前進させる
- ステークホルダー分析
第10章 チームサポート
チームにおける個人の行動に見られるような所属への欲求の影響を認識することで、チーム内の感情の種類やその根底にある原因を理解することができます。チームに受け入れられ、包容され、迎え入れられることは、幸せや陽気さ、満足感、穏やかさといった感情につながります。拒否され、排除され、無視されることは、不安な抑うつ、嫉妬、孤独といった感情につながります。チームメンバーの情緒的反応は、彼らの職場における所属感が実際に、潜在的にあるいは想像上高まることで、個人及びチームレベルのポジティブな愛着が増します。所属感の減少は、個人にとって脅威となり、ネガティブな感情につながり喪失感にも結びつくのです。
- 情緒的サポート
- 悩みを聴く、元気づける、他者の痛みを共感的に理解するなど
- 情報的サポート
- 情報共有手段の仕組み化、スピード、適切性など
- 道具的サポート
- 相互で行動を提供するためのサポート。助け合いの精神
- 評価的サポート
- 問題の状況理解や判断プロセスで仲間をサポートすること
- メンバーの成長や発達のサポート
- スキルの向上
- 仕事の充実
- スキルの多様性、タスクのアイデンティティ、タスクの重要性、自律性、タスクのフィードバック
- 家庭と仕事のバランス
- どちらが欠けても良くない
第11章 チームにおける対立
- 対立のタイプ
- タスクに関する対立
- プロセスに関する対立
- 対人関係の対立
- 対立時に対応の方向性
- 妥協
- 協働
- 競争
- 回避
- 適応
- 難しいチームメンバー
- どのようにやりにくいのか、なぜやりにくいのかを慎重に考える
- 無意識のうちにスケープゴート化されていないかを見定める
- 違い=やりにくさではないので混同しないこと
- チームないの役割と責任をあらためて確認する
- やりにくさの原因が仕組みの問題であれば是正する
第12章 組織におけるチーム
- チームが組織に求めること
- ターゲット:明確な目的・目標はあるか
- 資源:目的を達成するために必要な資源
- 情報:目的を達成するために必要な情報
- 教育:チームのパターを最大化するために必要な教育
- フィードバック:パフォーマンスに対する組織からのタイムリーで適切なフィードバック
- HRMの役割
- パフォーマンスの最大化
- メンバーの成長と幸せの手助け
- 創造性の促進
- チームワークの促進
- 組織からチームへの要請
- 目的を達成するための協働と他チームへの刺激
- チームの必須要件
- 明確で一貫性をもったビジョン
- 他人の意見に対する柔軟性
- 忍耐強さ
- 全員参加
- 悪い知らせの歓迎
第13章 バーチャルチームでの仕事
- バーチャルチームのメリット・デメリット
- メリット
- 柔軟性が高い、ワークライフバランス、自由裁量、自主性から起こるモチベーション
- 場所に縛られない、通勤からの開放、地球環境負荷低減
- いつでもどこでも仕事ができる、諸経費の削減、遠隔地のクライアントでも対応可能
- デメリット
- コミュニケーションが取りにくい・減少しやすい
- 仕事とプライベートが曖昧になりがち、コミュニケーションコストの増加(伝わりにくい、誤解を生むなど)
- 直接頻繁にあっているチームと比べてチーム力が低くなりがち
- ビックビジョンに対する理解が得られにくい
- オンラインに対するトレーニングが必須
- 孤立と疎外感が生まれやすい
- 生産性が低い人への管理コスト増加
- メリット
- いかなる状況でも、チームメンバー間の信頼によって支えられている
- チームの信頼レベルが高いほど生産性は上がる
- また、不毛な対立も減り、ポジティブな雰囲気を醸成することができる
- キーはリーダーシップとフォロワーシップの共存
第14章 トップマネジメントチーム
- トップマネジメントチームは高いモチベーションとスキルを持ったメンバーで構成される
- どんなチームでもまずは通常のタスクの状態を理解することからはじまる
- タスクを明確化した後に必要なスキルと人材を見極め配置する
- トップマネジメントチームの規範
- コミットメント
- 透明性
- 積極的参加
- 誠実さ
- チームメンバーは8,9名位までが最適
- トップマネジメントチームで大事なこと
- 最も重要な問題から始める
- 過去ではなく未来に向き合う
- 事前準備と参加
- 疑問の残るタスクへの挑戦
- 委任
- 大きなタスクは大きいままにしておく
- CEOのリーダーシップ
- 組織を理解する
- コンセプトを扱うスキル
- 決断力
- 聞く能力・意見を求める能力
- 自らを認め、信頼する
- 感情面での知性
- 謙虚さ
- インスパイアする力