「井上尚哉」の強さとはなんなのか?この問いに答えるべく拳を交えてきた10人の選手達にインタビューを重ね、まとめた一冊。年末ぎりぎりに読んだけどめちゃくちゃ面白かった。
まず、著者の森合さんの行動力と相手の本音を引き出す力がすごい。これぞ取材という感じ。
強さの秘密を言語化する場合、本人や関係者に密着取材をする方法が思い浮かぶけど著者の森合さんは逆で、過去に戦ってきた選手から話しを聞くことで強さの秘密を明らかにすることを試みている。
その方法がハマっていて、拳を交えた相手にしかわからない井上尚哉のすごさが様々な視点で語られている。
本書の目的は井上尚哉の強さに迫ることだけど、対戦相手の当時の心情や現在の姿も読みごたえがあり、かなりグッとくる場面も多かった。特に河野公平さんの章は泣きそうになってしまった。
井上選手はつい最近タパレスにKO勝ちしたばかりで、まだまだ進化の過程にいる。
そんな井上選手と戦った選手達は表現は違えど、井上選手に対するリスペクトと戦えたことに対する誇りを持っていて、対戦相手にここまでの影響を与えられる井上選手は本当の意味でのチャンピオンなのだなと感じた。