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読書記録と日常のあれこれ。

勝負師の条件|読書メモ

”結局のところ、どの競争相手も基本的におなじ武器で戦っていることが多い”
まえがきで書かれていたルイス・ガートナーの言葉。たしかにな~、と感じたし情報が溢れかえっていて簡単にアクセスできて答えっぽいものまで入手できてしう状況であれば戦い方も似てきてしまう。今後もそれは変わらないしさらに加速していくと思う。ではどこで差がでるのかというと直感力や判断力があげられる。とくに変化の激しいビジネス環境ではなおさら。
この本では著者が関わってきた起業家やコンサルタント、学者や政府関係者の中で「他人より優れた判断ができる人たち」にスポットを当て、その共通点など探り体系づけがされている。”個別の事情”と言ってしまえばそれまでだけど、過去の事象や結果の裏側を垣間見ることができるのはすごく有益だと思う。

章立て

  • 第Ⅰ部 「勝負師」たちの土台
    • 第一章 ①察知力と直感
    • 第二章 ②経験の巧みな積み方
    • 第三章 ①「己を知る」ために
    • 第四章 ②「自分なりの答」を作る道具として
    • 第五章 ③「無意識のゆらぎ」のために
  • 第Ⅱ部 敵やライバルなんて、本当に存在するのか
    • 第六章 「競」と「争」の織り成なす世界
    • 第七章 敵やライバルを知るために
    • 第八章 人の気持ちがわかる「勝負師」たち
  • Ⅲ部
    • 第九章 未来は誰にもわからない、しかし・・・
    • 第十章 変化の本質を、いかに見抜くか
    • 第十一章 あり得る未来の幅、そして危機管理
  • Ⅳ部 「己を知る」という難問①諫言訳を持つ
    • 第十二章 「諫言役」をいかに活用するか
    • 第十三章 「諫言役」の知恵をバラして使う
  • Ⅴ部
    • 第十四章 「勝負師」は「もう一人の自分」の夢を見るのか
    • 第十五章 外部からの目
    • 第十六章 人はもともと分裂している
    • 第十七章 「自分を超えた自分」はどこから来るのか
    • 第十八章 メタ認知の技法
  • 最終章 卓越し続けるとは
データベースがいくらあっても、変化に気づけないなら、意味がないんです
直後の徹底した振り返り
「何が最善の手だったのか」「他の手を選択した場合、どのような可能性があるのか」
「即座ではありませんが、小さな結果の連続で成り立っている、ある結果の塊を、もう一回自分で説明してみることはやっていました。トップは自分の足跡を一ミリ単にで説明できなくてはならない。やる前にどう思ったか、結果なぜそうなったのか、ともに言えなければならない。だから、ある一呼吸を置いて、説明してみるんです」
人の記憶というのは、時間が経つごとに自分に都合の良いような書き換えが進んでしまう
自分が勝った、成果をあげたといったところで、単に運がよかっただけ、ライバルがコケただけかもしれない。では、一体何が本当の勝ち筋だったのか。勝ち負けの結果がすべてだと思ってしまうと、こうした検証は普通なされない
「真理や全体像を追い求めるなら、必然的にプロセスかの解析重視にならざるを得ない」
「定点観測しないと、自分がその気になったものしか見なくなる」
自分の失敗はもちろんのこと、他人の失敗を集めて溜め込んでいくことで、判断の確実性が高められるうというのだ。
「成功事例には運が伴うので、あてになりません。逆に失敗事例は参考になります。だから、失敗事例集を作れといって、会社で三万件くらい集めました。社内で全部読めるようになっているので、それを読めば新しい開発をしても失敗しないはずなんです。でも見ない人も多いんですね。これは経験と人間性の差です」
「教養」とは、自分やその立ち位置を相対化し、俯瞰するための、外部への通路なのだ
何か起きたときに、過去の経験や蓄積した知識に照らして、さながら「指紋照合」でもするように、同じ事象や類似のケースを見つけ出し、解決に当たる
抽象度を上げたアイデアと、それを結びつける根底の価値観
(交渉事では)事前にしっかり準備をして、たくさん情報を集めたほうが必ず勝つ。だから、こっちのほうが「情報が多い」と確信できないうちは交渉のテーブルについてはいけない
「よき技術者というのは、他人の気持ちがわかる人です。頭のいい人というのは、下手をするとその頭の良さで前に進んで行ってしまいますが、それでは売れる技術は開発できません。売れる技術というのはソリューションであり、思いやりだからです」
戦略の策定で致命的に間違えるケースとは、市場や競争状況に目を奪われ、この基本的な経済構造に反することをやってしまうことである
変わることが、変わらないこと
どういう製品がとうじょうしたら自社の開発した製品は売れなくなるのかを考えるのである
最初にすべきは「我々の仕事の本質は何なのか」、つまり事業領域をゼロベースで定義することです
普通の友人は、自分に対して気持ちに逆らうようなことはなるべく遠慮して言わない。けれども敵であれば、自分の欠点や短所を遠慮なく暴露する。自分が自分の過ちや失敗を覚えることができない場合に、敵は遠慮なく真実を指摘してくれる。だからそれを取り入れて、これを後日のいましめとして自分を磨けば、敵の私に対する悪口は、私を大いにはげましてくれる忠告の言葉となる。誹謗は、私の真実を映す鏡ではないか。
和して同ぜず
スコープを広げる、時間軸を長く、三人称へ、世界観の飛ばし
「まだその事業に経験がないと仮定して、これからあたらめて新規参入するつもりがあるのか」。答えがイエスなら「その事業に対してどのように取り組むつもりなのか)
「自分の成し遂げたいことや、ありたい姿」は、一般的に理解されないことも多い。人は自分のレベルでしか、残念ながら他人を推し量ることができないからだ