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読書記録と日常のあれこれ。

成しとげる力|読書メモ

世界一の総合モーターメーカー 日本電産 永守さんの書籍。1973年に4名で創業し、現在では売上高1兆円を超えるグローバル企業へと成長させた永守さんの信念や考え方を知りたいと思い読んでみた。
夢や目標を叶えるために人の何倍も努力し、できない理由を探さずにどうすればできるのか考え行動し続けてきた永守さんの強い信念と執念を感じ、示唆と刺激をもらうことができた。
その姿勢と考え方は時代錯誤と言われかねないし、人によって合う合わないもあると思うが、結局強い会社はこうなんだよなと個人的には腑に落ちた。
企業経営だけでなくチームマネジメントや小規模なグループをリードしていくという視点でも参考になるのでたまに読み返して活用していきたい。
印象に残った個所を以下にまとめておく。

書籍情報

著者 永守重信
発行 2021年11月
成しとげる力
成しとげる力

プロローグ

他者や歴史から学ぶ姿勢

「会社がつぶれる」という恐怖が頭をよぎった私は、すぐに図書館に向かった。「百年に一度の危機」だと評論家は論じていた。ならば歴史に残る、一九二九年のアメリカに端を発する世界恐慌について調べてみようと思ったのだ。

やはりいちばん大事なのはマインド

世界一の企業をめざして経営をしていくなかで、私がいちばん注力してきたのは、人の意識をどう変えるかである。すなわち、やる気、気概、情熱、熱意、執念・・・・・そうしたものをいかに高めていくかということだ。

努力は裏切らないと信じ、愚直に努力を積み重ねる

まず、つね日頃より準備と努力を怠らず続けていることである。努力の積み重ねがないところには運もやってこない。じっさい、よい流れが来たときは即断即決が原則である。チャンスは一度しかやってこないし、たいていはものすごいスピードでやってくるものである。そのときに迷ったり、判断を躊躇したりしていたら、とうてい間に合わない。

第1章 一番を目指せ!力はあとからついてくる

コミットメントと一貫性

日本電産を創業したのは、一九七三年の七月。夏の熱いさなかであった。私はたった三人の従業員を前にして、一時間四十分にもわたって訓示を垂れた。「めざしているのは零細企業や中小・中堅企業ではなく、兆円企業である」こと、そして「精密小型モーターの分野で世界のトップになる」ことを明言した。

スピードと先見性

どんなことでもそうだが、変化のスピードはどんどん速くなっている。人の後ろからついていっても成功はおぼつかない。丹念な調査を地道に継続する一方で、独自性を打ち出し、リスクをとって一番で参入する。それができるか否かが、成長発展の鍵を握っているのだ。

戦略思考

いかなるルートを選択するかは、まさに一生を左右する問題だ。そのときに忘れてはならないのは、自分の強みを存分に発揮できる道を選ぶことである。どんな人でも力を発揮できる分野はあるが、何でもできる力を持っている人は少ない。だから、自分の強みを生かせる道を見出して、それを深堀することだ。強みが活かされる道であれば、成功体験を積むことができ、それが自信へとつながっていく。

スピードの強み

日本電産には”三大精神”なるものがあるが、そのうちの一つが「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」である。これもまた創業時に定め、いまでもそのままに受け継いでいる会社の”基本精神”である。その筆頭に「すぐやる」を挙げたのには、大きな意味がある

守破離

他者から学ぶことはもちろん大切だ。しかし、これぞと思うものは自らの手で作り上げたいものだ。それこそがゆるぎなのない自信となり、一番になることにつながっていくのである。

第2章 苦難に飛び込め!やがて人生は輝く

平時と戦時の違い

人生も仕事も順風のときには、その人がもつ強さ、弱さの差は、見た目ではほとんどわからない。しかし、その人間の真価が見えるのは苦境に陥ったときである。苦しみから逃げ出そうとする者と、踏みとどまって敢然と立ち向かう者との差は歴然である。

恐怖を認める、打ち勝つ

大きな希望と志を掲げ、強気を押し通していたが、その重圧に耐えきれずに全身には蕁麻疹ができて、かゆくて夜も眠れなかった。耐え切れず精神科に飛び込んでみたところ、ここでも「会社なんか始めるものではない、だからこんな症状がでるのだ」と諭される始末。まさに四面楚歌だった。

失敗は学びの機会。それは大きな財産となる

まずは他人の力を借りずに自分の頭で考え抜いて、解決策を探る。そして、それを実行して結果を積み重ねる。ときには失敗することもあるだろうが、その経験が次の壁にぶつかったときの力になるのだ。

奢らぬ姿勢

「このままではいけない」とつねに足下を悲観し、いち早く準備をしておけば、変化した市場に一番乗りできる。いまを悲観しているかぎり、将来は明るいのだ。

あえて厳しい道を選ぶ

人生に苦しみはつきものである。しかし、苦しみから逃げてしまうか、あるいはそこに飛び込んでいくかで、その後の人生はまったく違ってくる。困難や苦労が大きければ大きいほど、そのあとにやってくる喜びや楽しみもそのぶん大きくなるのだ。だからこそ、困難がきたら逃げずに飛び込んでみること。そして、そこから生きた教訓を得ることだ。

第3章 機微をつかめ!人の心はこう動く

急がば回れ

人と人とのつながり、よい人間関係をつくるための妙案はない。自分の思いをしっかりと伝え、相手の思いもきちんと聞く。そのことにどれだけの時間を費やしたかで決まるのだ。

人を動かす

物事を成しとげるのは、一人ではできない。目標が大きければ大きいほど、たくさんの人の力を仰がなければならない。そこで求められるのは、「訴える力」である。

根気

人は目で見たり、耳で聞いただけでは動かない。自らの意思で行動するためには、その理由がしっかりと腑に落ちていなければならない。

腑に落ちるまでいったか。納得するまで教えたか。何度も指導したか。できるまでやらせてみたか。このしつこさが人間を変え、組織を変えていく原動力となるのだ。

第4章 変化をとらえよ!大きく見て小さく歩め

伝える努力

たとえば日本電産が手がけていたブラシレスモーターであれば、それがどんなもので、どのような点がすぐれているのか、ほとんどの顧客は知らないのだ。そのためには、きちんと説明しなければならない。種をまいただけでは不十分なのだ。私は英語の解説書まで書いて、得意先に配り、営業マンがコツコツと世界中を説明に回った。

挑戦なくして成功なし

世の成功を手にするものは挑戦の分母が桁違いに多いということを、胸に刻んで欲しい。

常に外部環境変化を捉え自己を見つめ直す

では、ゆでガエルになってしまうのはどんな人間か。その特徴は「マンネリ・あきらめ・怠慢・妥協・おごり・油断」の”六悪”に集約できる。

進化論

生き残れるものはもっとも強い者でも、もっとも賢い者でもない。変化できる者だけなのである。

第5章 人を育てよ!時代は大きく変わる

心の知能指数がより重要になる

これまでの日本社会では、どちらかといえば偏差値の高い高学歴の人材が重用されてきた。しかし、グローバル社会の到来とともに、その流れは根底から崩れ去っている。IQ(知能指数)値によって表される優秀さよりも、EQ(感情指数)値の高さが求められるようになってきたのだ。

自分はどうありたいか

つねづね、人間には三つのタイプがあると考えている。自分で燃える人(自燃型)と他人に火をもらって燃える人(他燃型)、そして、まったく燃えない人(不燃型)の三つだ。

雑談力

どんな場面でも、それなりにおもしろいと思わせる話をするには、日頃からアンテナをはりめぐらして話題のネタを探し心がけ、雑談力を磨く習慣をつけていくことが必要なのだ。

心に火を付ける

時代は大きく変わった。実力そのものが問われる時代がようやく到来したのだ。これからの時代は自分の夢、職業観、理念を大事に生きていくことである。自らの心に火をつけてひたすら前進できる「自燃型」の人間こそが求められているのだ。