北海道の貧しい家庭で生まれ、中卒から世界的な料理人にまで上り詰めた三國さんの半生が書かれた書籍。本物の努力家で目的のためにはいい意味で手段を選ばず覚悟を決めて突破していくその様は「自分の人生を自分で決める」という強い意思を感じた。まっすぐで料理に対して真剣、一流になるためには業界、業種問わずに持つべき姿勢だよなと襟を正される。少しの悲観を持ながら楽観的に構える、そんな柔軟な考え方も参考になる。それと、要所で周囲の人に助けられていて、人を惹き付ける魅力があるのはもちろん、「人がやりたがらないことをやる」等の泥臭く努力できるのはすごいことだし、それをきちんと見てくれている上司や恩師がいたことで大きく運命を動かすきっかけにもなっている。そんなエピソードからは人間力の高さを感じることができた。
書籍情報
著者 三國清三
発行 2022年12月15日
章立て
はじめに
第1章 小学校二年生の漁師
第2章 黒いハンバーグ
第3章 帝国ホテルの鍋洗い
第4章 悪魔の厨房
第5章 セ・パ・ラフィネ
第6章 ジャポニゼ
第7章 最後のシェフ
おわりに
メモ
- 父と母の一言
- 「志はみんな平等」
- 「大波が来たら逃げるな。船の真正面からぶつかってけ」
- 帝国ホテル勤務時に総料理長に近づくためにやったこと
- 行動パターンを把握して偶然を装って挨拶し、覚えてもらう
- テレビ番組の収録に同行して収録前の下準備を手伝う。その際も教えてもらうという姿勢ではなく徹底的に観察して必要とされる行動を自ら考えて実行していた
- あえて空気を読まない
- 努力を見てくれている人がいる
- 帝国ホテル勤務時は洗い場などの下積みに終始
- 料理を作ることは一度もなかったがなぜか大使館の料理人に推薦された
- それは成長したいという意欲と自分の頭で考えて即行動に移し小さくとも結果を出し続けていたからだと思う
- 戦略的に動く
- アメリカ大使を招いての晩餐会では事前に好みの料理を調査し、それらを提供しているレストランに押しかけてレシピを聞いて練習した
- 日本の大使夫婦に対しても上に同じ
- 突破力
- ジラルデの元で働くと決めた三國さんは直接店を尋ね、働きたいと直訴。もちろん断れるのだが店先に座り込み続けてなんとか店に転がり込むことができた。フランス語でブチギレられたらしいが厨房まで連れて行かれたので洗い場の汚れた鍋を洗いはじめ、そこからジラルデのもとでの修行の日々がスタートした(フランス語が話せないにも関わらずものすごい行動力)
鍋洗いが許されたのは、誰もやりたがらない仕事だからだ。苦労する覚悟さえあれば、どこかに居場所は見つかる。見つけた場所で一生懸命にやれば道は開ける。ほんとに開けるかとは限らないけど。自分にそれしかできることがないなら、楽観的にやり続けるしかないと思っている。
- ジラルデの元で働くと決めた三國さんは直接店を尋ね、働きたいと直訴。もちろん断れるのだが店先に座り込み続けてなんとか店に転がり込むことができた。フランス語でブチギレられたらしいが厨房まで連れて行かれたので洗い場の汚れた鍋を洗いはじめ、そこからジラルデのもとでの修行の日々がスタートした(フランス語が話せないにも関わらずものすごい行動力)
- ブレイクスルーの瞬間
- フランス人の同僚にまかないを作って出したら生クリームをビタビタについかされ、その瞬間は料理が台無しになるのでやめろと言ったがフランス人のの感覚ではそれが普通だとピシャリと言われた
- このとき、自分はフランス料理は得意だがフランス人にはなれないと感じ、日本へ帰国することを決意した
- 同時にどれだけフランス料理を極めようともそれは自分の料理にはならないことに気づき、そこからは自分の料理とはなにかに向き合い、進化させていった
- 本書の中ではジャポニゼと書かれていて守破離で言う破の状態に進化したのだと思う