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読書記録と日常のあれこれ。

言葉にできるは武器になる。|読書メモ

電通のコピーライター 梅田悟司さんの書籍。言葉に対する向き合い方をテクニックだけでなく本質的な部分からわかりやくす解説されている。以下、自分用のメモとして。

はじめに

  • 言葉が意見を伝える道具ならば、まず、意見を育てる必要がある
  • 言葉は思考の上澄みに過ぎない
  • 思考の深化なくして、言葉だけを成長させることはできない

1「内なる言葉」と向き合う

言葉で評価される時代 伝わり方にはレベルがある
  • 不理解・誤解→理解→納得→共感・共鳴
    • 「内なる言葉」に幅や奥行きをもたせることによって得られるのが、言葉の重み
  • 「内なる言葉」とは、頭に浮かぶあらゆる感情や考えのこと
    • まずは、頭の中に浮かぶ「内なる言葉」の存在に意識を向け、磨く鍛錬をせよ
言葉には2つの種類がある 「外に向かう言葉」と「内なる言葉」
  • 言葉を生み出すプロセスは、①「内なる言葉」で意見を育てる ②「外に向かう言葉」で意見を言葉に変換する、という二段階構成
    • 人々が相手に対して感じる、言葉が「重い、軽い」「深い、浅い」という印象は、内なる言葉と向き合うことによって、自らの思考をどれだけ広げ、掘り下げられたかに因る
  • 考えたつもり、からの脱却が必要
    • 1人の時間を確保し、自分自身の中から湧き出る「内なる言葉」と向き合う
    • 毎日を丁寧に生きる
    • ヤバい、神などの略語は便利だが心の琴線を見ぶらせることに繋がる可能性があるので注意
  • 「内なる言葉」は自分の視点そのもの
    • 今まで生きてきた中で培われた視点
    • 性格や個性
    • 自分自身の世の中を見渡す視点
「人を動かす」から「人が動く」へ 言葉が響けば、人は自然と動き出す
  • アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリは人を動かすと動きたくなるの違いをこう述べている
    • 船を造りたいのなら、男どもを森に集めたり、仕事を割り振って命令したりする必要はない。代わりに、広大で無限な海の存在を説けばいい
  • 人を動かすことは不可能であり、動きたい気分や空気をつくることしかないと胸に刻む
  • 人間は一人ひとり同じだけの感情を抱えて生きている。自分がそうであるように、相手も気持ちが動かない限り、動いてもらうことができない。そのためにできることは上辺ではなく、その人の立場になりきって言葉を投げかけることである
  • 志を持ち、共有する。それが人の心を動かしていく
  • 「思いは細部に宿る」
最後は「言葉にできる」が武器になる 全てを理解していなければ、言葉にできない
  • 簡単に話す(説明する)ためには、話そうとしていることについて深く知り、全体像を把握していなければならない
    • 具体と抽象を行き来し、相手の状況を加味して話す必要がある
  • 「内なる言葉」に意識を向け続ける習慣こそが重要
  • 「自分の頭の中を覗いているもう一人の自分」の存在を意識する

2 正しく考えを深める「思考サイクル」

  • 言葉は、思考の上澄みに過ぎない
    • 内なる言葉を磨く唯一の方法は、自分が今、内なる言葉を発しながら考えていることを強く意識した上で、頭に浮かんだ言葉を書き出し、書き出された言葉を軸にしながら、幅と奥行を持たせていくことに尽きる
  • 内なる言葉の解像度を上げる
    • 内なる言葉の解像度とは、自分の頭の中をどれだけ把握できているかという指標
    • 幅と奥行きを広げていくことこそが、内なる言葉の解像度を上げ、外に向かう言葉に力を与えることに寄与する
「思考サイクル」で正しく考えを深める 内なる言葉を磨く全身思考法
  • 人は考えているようで、思い出している
    • 真っ先に行うべきことは、頭の中に浮かんでくる言葉をとにかく書き出すことである
  • 自分の中に思考サイクルをインストールする
    • ①思考を漠然としたものではなく、内なる言葉と捉える
    • ②内なる言葉を、俯瞰した目線で観察する
    • ③そして、考えを進めることに集中し、内なる言葉の解像度を上げる
  • 自分の頭の中にある課題を設定する
    • 自分という存在について
    • 将来について
    • 人間関係について
    • 恋愛について
    • 仕事について
    • 就職・転職について
①頭にあることを書き出す アウトプット
  • 全ては書き出すことから始まる
  • 書き出すことで自分の頭の中を俯瞰して見られるようになる
  • 書き出した紙を方向性ごとに分類し、順番をい入れ替え、足りない部分を付け加えていく、などをする
  • リズムよく、書き出すことが重要
  • 紙をケチらず書く
  • とにかく書き出し、頭の中を空っぽにする
  • そうすると、また、考える余裕が生まれる
②「T字型思考法で考えを進める」 連想と進化
  • 「なぜ?」「それで?」「本当に?」を繰り返す。俯瞰する
    • 「なぜ?」=考えを掘りさげる
    • 「それで?」=考えを進めていく
    • 「本当に?」=考えを戻していく
  • 常に自分が考えている抽象度を意識する
③同じ仲間を分類する グルーピング
  • 内なる言葉を俯瞰して観察する
  • 幅と深さで分ける
  • 方向性を分ける際の参考
    • 時間軸
    • 人称軸
    • 事実軸
    • 願望軸
    • 感情軸
④足りない箇所に気づき、埋める 視点の拡張
  • 横のラインを意識し、考えを広げていく
  • 縦のラインを意識し、考えを深めていく
  • なるべく、漏れなく、ダブりなくを目指す
⑤時間を置いて、きちんと寝かせる 客観性の確保
  • その場所から離れることの効力
    • 無意識のうちに考えが狭まっている可能性があるので冷静になるきっかけをつくる
  • セレンディピティが起きる瞬間
    • 求めずして思わぬ発見をする能力のことをセレンディピティと呼ぶ
    • 日頃からの課題意識と行動によって潜在的に情報感度が高くなり、気づく力が強化されている状態と言える。つまり、無意識の意識が目の前で起きる事象に意味を与える
  • 先へ先へ急ぐだけでなく、急ぐからこそ時間を置いて、考えを寝かせることも重要
⑥真逆を考える 逆転の発送
  • 自分の常識は先入観であると心得る
  • 真逆にも様々なバリエーションがある
    • 否定
    • 意味
    • 人称
⑦違う人の視点から考える 複眼思考
  • あの人だったら、どう考えるだろうか?
  • 自分という壁から、自分自身を解放する
    • 苦手意識、専門性、前例、常識、時間、仕事モードなど
  • 自分の可能性を狭めているのは、自分
自分との会議時間を確保する 結局、時間は作るものである
  • 頭がすっきりした午前中が最適
  • 自分との会議を有意義にするのは入念な準備しかない
  • 自分と向き合うことを習慣化する
  • そのための時間を確保することも習慣にする
  • いつかはいつまでもやってこない。やる気を行動に変える

3 プロが行う「言葉にするプロセス」

思いをさらけ出す2つの戦略 素材がよければ、味付けは必要最小限でいい
  • 思いをどれだけされけだせるか
  • 言葉の型を知り、言葉を生み出す心構えを持つ
使える型は全て中学までにならっている
  • ①たとえる 比喩・擬人
    • わかりやすい言葉で、イメージを共有する
  • ②繰り返す 反復
    • 大事なことだから、繰り返す
    • 文章にリズムをつくる
    • 最も伝えたいことを短い言葉に落とし込む
  • ③ギャップをつくる 対句
    • 強い言葉はギャップから生まれる 例)負けるが勝ち
    • 自分の言いたいことの逆を前半に組み合わせる
  • ④言い切る 断定
    • 曇りない言葉で、明確な未来を打ち出す
    • 人は無意識のうちに断定をさけ、そうではない可能性を残しておくような言い方をしてしまう
    • だかこそ、断定できる人は強い
    • 断言は人々を導く「旗」になる
    • リーダーシップとは、人を先導する統率力である。仮にチームを率いる立場ならば、全員の意思を統一させて、同じ方向に向かわせる必要がある。このリーダーシップが発揮されることで、はじめてリーダーを全力で支えたいというフォロワーシップが生まれる
    • 「と思います」が、意思を弱める
    • 「と思う」「と考える」といった言葉を思い切って排除してみる
    • 考え抜かれた言葉は、人々を導く旗になる
  • ⑤感じる言葉を使う 呼びかけ、誇張・疑似
    • 「感じる言葉」が聞く耳を持たせる 例)少年よ、大志を抱け。
    • 気になる言葉をワンポイントを使う 例)気持ちいい、ちょー気持ちいい。
    • 語りかけるように、言葉を紡いでいく

言葉を生み出す「心構え」を持つ

言葉のプロが実践する、もう一歩先
  • ①たった一人に伝わればいい ターゲティング
  • みんなに伝えようとすると、誰にも伝わらない
    • 特定の一人を思い浮かべながら、この人にだけは伝えたい、という気持ちで言葉を生み出していく
  • 文章の前に「あなたに伝えたいことがある」を付ける
    • あなたに:伝えるべき相手は誰か
    • 伝えたいこと:心から湧き出てくる思い、本心であるか
    • ある:断言しきれる内容か
  • ②常套句を排除する 自分の言葉を豊かにする
    • 常套句が「らしさ」を奪う 例)何卒、よろしくお願いいたします
  • 当事者同士しか分からない「ふたりの言葉」の効力
    • 常套句を言い換える
    • 例)いつもお世話になっております→先週の打合せ、ありがとうございました
    • 例)大変ご無沙汰しております→前回お会いさせていただいていから◯ヶ月がたってしまいました
  • ③一文字でも減らす 先鋭化
    • 書ききる。そして、修正を加える
    • 削ることで、言いたいことを際立たせる
    • 自分だけのこだわりを削る
  • ④きちんと書いて口にする リズムの重要性
    • 誰もが文章を「内なる言葉」で読んでいる
    • 読みにくい言葉は心に入ってこない。響かない
  • ⑤動詞にこだわる 文章に躍動感を持たせる
    • 動詞には意思が宿る
    • 新しい体験をしている時に自分の頭の中にどんな言葉が生まれるのかに意思を向けることが重要。今までやったことのないことをすると、それだけで脳は刺激を受け新しい感情が内なる言葉として発することができる
    • 体験の幅を広げることが、動詞の幅を広げることに繋がる
  • ⑥新しい文脈をつくる 意味の発見
    • 言葉の意味は時代によって変わる
    • 命名法で新しい名前を付ける
    • 名前が変われば意識が変わる。常識が変わる
  • ⑦似て非なる言葉を区別する 意味の抽象度を上げる
    • 純化することで失われることがある
      • 詳細を排除することで人の興味を引きつける情報が抜け落ちてしまうことがある
      • どこかで見た文章になってしまう
    • 言葉の「意味」の解像度を上げる
    • 自分だけの似て非なる言葉リストを作成する
      • 知識と知恵
      • 評価と評判
      • 問題と課題
      • 解消と解決
      • 性質と本質
      • 会議と議論
      • 文句と意見
      • 妥協と収束
      • 顧客と個客
      • 意味と意義
      • 仕事と使命
      • ルールとモラル
    • 自分が大事にしている価値観が自然と浮き彫りになり、内なる言葉の語彙力も解像度も高まり、考えが深まっていく
    • その結果、自分の感性が変わり、選ぶ言葉が変わり、外に向かう言葉にも厚みが生まれていく