書籍情報
まとめ
- 我慢しながら働く時代は終わり、望み通りのキャリアを手に入れる時代へ
- その手段が転職であり、市場価値を向上させることがキャリア形成に繋がる
- 広くゆるい繋がり(ネットワーク)は人生を豊かにする
雑感
リンクトインの村上さんの書籍ではあるもののポジショントークはほぼなく、フラットに現在の日本国内における働き方をわかりやすく解説している。
例えば、これまでは企業主体であった雇用も個人主体にシフトする傾向にあり、これは情報の非対称性の解消や人口減少により需給バランスなどが理由として語られている。
また、終身雇用を前提とした日本型雇用は崩壊を迎えつつあり、徐々にジョブ型雇用が増加している点にも触れており、転職に関する考え方をアップデートする必要性と実践する上でのポイントを、自己認識・業界・会社・ネットワーク形成に切り分けて説明している。
内容はLIFESHIFTにも通ずるものも多いが、より日本国内に寄った話題になっているのと同書と比較しボリュームも少ないため、全体を通して読みやすさとわかりやすさがある。
逆に転職2.0のみで物足りなかったり、もっと深堀りしたい場合はLIFEDSHIFTを読むことでより深堀りした知識を得ることができると思う。
印象に残った点
・「株式会社俺」の意識を持つこと
自分にとっての幸せが最大限になるように、自分自身の経営者になるということ。
元ヤフーの宮坂さんからの言葉らしく、宮坂さんは会社に会社事業部・家族事業部・
アウトドア事業部といった事業の柱を持っていて、「株式会社俺」の時価総額は幸せ
の総量で表されると語っていたそう。人生の中で何が大事かをきちんと考え、バラン
スを取りながら最大化=幸せに繋がる
上記の例でいうと、自分の職務経歴書=有価証券報告書になるという考え方。転職検
討時のみブラッシュアップするのではなく常日頃から行っておくことで備えにもなる
し自己理解にも繋がる。
また、別文脈で企業調査の際も有価証券報告書は情報の宝庫なので、村上さんは必ず
目を通すらしい
・いい会社の基準
”我慢しない働き方を認める会社こそが「いい会社」であり、業績の高い会社である
という常識が定着していくのです。”
と、本書では語られていた。
なるほど、と思う反面、現実的に一般化するまでにはまだまだ時間がかかりそう。
それと、誰もが恩恵を受けられるわけではなく、スキルやネットワークなどの資産を
持つものと持たざるもので二極化が加速する可能性も高そうだなと感じた。
ただ、インターネットにさえ接続できれば取得できる情報に大きな差は生まれないた
め、そこから以下に行動に移せるか否かが今後のキャリア形成で大きく影響するポイ
ントになる
最後に
これまでの転職経験がない人や今後のキャリア形成に漠然とした不安を抱いている人は一読する価値はある。また、企業の経営者や人事担当者も、採用戦略や人材理解のために読むのも良さそう。