オプスウェア(旧ラウドクラウド)のCEO兼共同創業者でアンドリーセン・ホロウィッ
ツの共同創業者兼ゼネラル・パートナーであるベン・ホロウィッツの著書。
本書の冒頭で「企業文化には気をつけろ。なによりも文化が重要だ」との記載があり、
この一言が本書の最重要テーマとなっている。
ただ、企業文化は目に見えるものではなく組織に所属する人が作り上げるものである。
それゆえ、具体的に説明することが難しかったり、なんとなく耳障りの良い言葉で
済ませようとしてしまう。また、うまくいっている他社の表面的な文化っぽいものを
真似ることでなんとかしようとしている企業経営者もいるのではないのだろうか。
この掴みどころのない企業文化について、ベン・ホロウィッツの実体験と歴史上の
偉人の研究結果などから独自の考察を加えて明快に説明している。
今回もざっくりと印象に残った点を振り返りメモとして記しておく。
①企業文化について
- トップがいないところで人々がどんな判断をするかこそが、企業文化というものだ。
- 基準以下の行いを放置しておくと、それが新しい基準になる
- 元黒人奴隷であるルーベル・チュールは自身を虐げてきた白人を仲間として認め引き入れた
- 優れた文化をつくるということは、状況に合わせて自分たちを変えるということだ。つまりそれは、自分たちが参入したい市場の文化や精通したい市場の文化を知るリーダーを社外から連れてくることでもある
- 言語一致させる
- ショッキングなルールを作る。「なぜ?」と問いたくなるもの、誰もが「まじで?」と聞き返したくなるような、奇妙でショッキングなルールでなければならない
- アマゾンの企業文化には「深く潜れ」という理念がある。
- これはすべての業務に精通し、細かい点にもいつも気を配り、頻繁に業務を見直し、数字や証拠が合わない場合には厳密に調査をしなさいという意味だ
- 文化はミッションせて進化し続けなければならない
- 「文化は見えるものよりむしろ見えないものによって形づくられる。意思あるところに文化はある」
- 外からリーダーシップを取り入れると、もともといた人たちは居心地が悪くなる。それがまさに、文化の改革
- 新規事業を自分たちのコアビジネスにするつもりで始めること。
- Netflixは高い顧客満足度と高利益を誇るDVD郵送事業を持ちながら2007年に動画配信事業を開始し、検証と改善を重ねてここまで成長してきた
- 自分の組織が決してなすべきでないことを具体的に書き出すことは、倫理違反を引き起こすようなバグへの最良の対策になる
- ルーベル・チュールは「正しいこと」はなん何かを具体的に打ち出していた。略奪しないこと。妻を裏切らないこと、責任を取ること、勤勉に働くこと、社会倫理を守ること、公教育、宗教の自由、自由貿易、市民としての誇り、人種差別の平等などだ
- 心に訴える具体的な指示を絶え間なく出し続けていた
- 文化は信条ではなく行動の積み重ねなので、思ったとおりには絶対にいかない。だから「一度決めたら放っておく」のではダメなのだ。常に自分だちの文化を検証し修正していかなければ、本物の文化にはならない。
- 他社の文化はあたなの会社には合わないかもしれない
- 文化は人を変える
- 真の企業文化を理解するのに一番いいのは、管理職の言うことを聞くのではなく、新人の振る舞いをみることだ。この会社に馴染み、生き残り、成功するにはどう振る舞えばいいと新人は見ているのだろうか?それがこの会社の真の企業文化だ
- 文化は理想を追いかけることだ。これまで何千という企業と仕事をしてきたが、文化が完璧に浸透している企業はなかった。ある程度の大きさの企業ではかならず逸脱するひとがいる。大切なのは、完璧にすることではなく、昨日よりよくすることが
- 武士道によると、文化は信条ではなく行動の積み重ねだとされている。あなたの会社の文化的な規範はどのような行動として表せるだろう?たとえば、共感は行動として表すことができるか?もしできるとしたら、行動規範として有効だ。もしできない場合は、違う行動規範を掲げた方がいい
- 文化は、あなたが何に一番価値を見出すかをしることから始まる。その価値観を反映する行動をい組織の全員が実践できるように、リーダーは努力し続けなければならない。高度規範がやあふやだったり、煩雑で邪魔にしかならないものなら、それを変えなければならない。文化に重要な要素が欠けていれば、それを付け加えなければならない、そしてなにより社員の行動に細心の注意を払い、自分の行動には一層注意しなければならない。あなたの行動は企業文化に影響しているのか?あなたは自分のなりたい人間になっているのか?それがすばらしい文化をつくるということだ。それが、リーダーになるということなのだ。
②リーダーとして
- 誰も信じていないことを信じられるかどうかだ
- 誠実さ、正直さ、善良さは文化への長期的な投資になる
- 時間を守り、集中し、ミーティングが始まるいj簡易はもう準備をすませているのが当たり前だと思わせる
- 忠誠心と細部へのこだわりを支えていたのは、「人はいつか死ぬ」という意識だった
- 「一日のはじめに死についてじっくりと考えなさい。毎朝静かなこころで、自分の最後の瞬間を思い浮かべなさい」
- リーダーシップの大原則は、すべての人には好かれないということだ。みんなにすかれようとしても、いいことはない。私がそういうのは、みんながみんな私を好きじゃないことがわかっているからだ。
- 自分を管理するためのルールをつくった。会議の議題と求める成果が書面にきちんとまとめられていなければ、会議をキャンセルした
- 平時のCEOは「勝利の方程式」を知っており、それに従う。戦時のCEOはそういった既成概念を打ち破らなければ勝利できない
- 悪い知らせに心を開く
- 人ではなく課題に焦点を当てる。問題を見つけたら、根っこにある原因を解析し、何が問題を引き起こしているかを突き止めよう。たいていの場合、背景にはコミュニケーションや優先順位の付け方やその他の解決可能な問題がある。怠惰な社員や間抜けな社員が原因ではない。ひとりや2人の社員に責任をなすりつけるのではなく、根本原因を探り当てそれに対応することで、風通しがよく保身のない文化、つまり悪い知らせを歓迎する文化が築かれる
- 忠誠心は結局、人間関係の質に左右される
③その他
- 営業は売り込むか、売り込まれるか
- 客の言葉を真に受けていたら、営業はできない